ロッテ・マイトナー=グラーフ撮影 ルーシーのポートレート T.B著「ルーシー・リー」より ニューヨーク・タイムズで「運命が二人の出会いをもたらした・・・」と紹介されたイギリスの陶芸家ルーシー・リーとハンス・コパーは、バーナード・リーチとともに20世紀陶芸の巨匠と目されます。二人はナチスから逃れてロンドンで出会いますが生涯稀有のパートナーシップと友情で結ばれ、彼らの作品はお互いを抜きに語ることはできないと言われます。その二人の物語を紹介していきます。 サンダー叔父のアパートを借りられることになったハンスとルーシーはプリシュケに家具のデザインを依頼した。家具調度品ができあがり、ようやく住む準備が整ったのはルーシーの実家で3年弱を過ごした後の1929年の事だった。 ある時、ルーシーたちの住むアパートに写真家のロッテ・マイトナー=グラーフが越してきてルーシーと友人となった。当時、著名なポートレート写真家だった ロッテ・マイトナーは ルーシーの美しさに魅了され、ルーシーをモデルとしたいくつかの写真を残している。 この頃ルーシーは、旧姓のゴンペルツと夫ハンスの姓リーの両方を使い、作品にはルーシー・リー=ゴンペルツ( LRG)とサインした(後に「ゴンペルツ」はドイツを想起させるということで「ルーシー・リー(LR)とサインするようになった)。 また、素焼きをせず生の作品に直接釉薬をかける一度焼成の作品は、粘土素地、化粧泥、 釉薬が反応しあって独特の表情を作る。ルーシーはその方法を後にロンドンに渡ってからも生涯続けた。 ルーシー作陶に没頭し、ハンスは食事が終わると仲間とカフェに出かける日常がルーティーンになりつつあった。
20世紀を代表する最も偉大な陶芸家として記憶されるルーシー・リーとハンス・コパー。そしてバーナード・リーチ。その作品と彼らに関わった人たちのこと、そして見聞きした展覧会のあれこれを思い浮かぶままに。ルーシー・リーとハンス・コパーの作品を愛するひとへ。