Skip to main content

Posts

Showing posts from January, 2007

カナダのルーシー・リー展 Hans Coper, Lucie Rie and Their Legacy

「ハンス・コパー、ルーシー・リーとその継承者たち」展                   Gardiner Museum in 2002 見事な作品群でしょう! カナダのガーディナー美術館でのルーシー・リーとハンス・コパーの展覧会 展示風景です。 欧米の美術館は特別展でない限り写真を撮って良いところが多いですが、 この時はオープニングレセプションだったので広報の意味も大きかったのだと 思います。これほど濃縮された空間を撮ることができてラッキーでした (腕が良ければもっと良かったのですが)。 一点一点をゆとりをもって見せるのも(基本的にはそうあるのが 望ましいと思います)すばらしいですが、狭いスペースに数を並べると いうディスプレイも、見る人を圧倒させる力があるものだと感じました。 ルーシー・リーは晩年になるほど華麗な色あいの作品が増えます。彼女 が生まれ育った時代、エゴン・シーレやクリムトが活躍した大きな芸術の うねりの中のウィーンが色濃く出ているように思えます。 日本の美術館でのコレクションに彼女の作品がかなり増えてきているようです。 上の2枚にある作品についてはいつか又書きたいと思いますが、今回は 一番下の、ルーシー・リーの作品について。 一番右の高台の高い鉢は東京近代美術館で最近購入した作品と同じタイプ です。その左のグリーン釉薬にブロンズの鉢は今静岡アートギャラリーで 展示されている杉山コレクションとおそらく同じものです。 その左、薄エメラルドグリーンの背の高い花生けは日本で見かけたことは まだありません。同じタイプの真っ白の花生けがロンドン郊外のノリッチ にあるセインズベリー視覚芸術美術館に所蔵されています。盛り上がったドット 模様のスタイリッシュで暖かい魅力のある作品です。 手前のフェルール文様(筆の金輪でつけた模様)の鉢は同じタイプが やはり静岡で展示されています。信楽の「静寂の美」展で人気が高かった 美しい色合いです。 その左の象嵌の鉢もルーシー・リーの典型的な技法の一つです。 エイブベリーの博物館で先史時代の鳥の骨で描いた器を見たことで この模様を始めたということですが、より複雑な編み目模様の鉢があります。 白釉薬を掻き落としマンガン釉薬を象嵌した内側、外側はマンガン釉の 掻き落としを施した作品なども数多く残しています。 ルーシー・リーの器は静かな

Alvion Mews アルビオン・ミューズ

          上の写真は 2001年のアルビオン・ミューズ、下は2002年 ルーシー・リーは1939年、ナチスの迫害を逃れてロンドンに渡りました。 夫ハンスはアメリカ目ざしましたがルーシーはロンドンに残り、ハイドパーク 近くのアルビオン・ミューズに小さな工房兼住居を求めました。そして95年 に亡くなるまでその生涯をそこで過ごしました。アルビオン・ミューズの 美しさは誰もが口にするところですが、私が最初にそこを訪れたとき、 雨あがりの石畳はしっとりと輝くような美しさでした。 ミューズ(小路)は住人しか行き来のない奥まったところにあり、 誰がきても誰かが見ているような行き止まりの狭い路地にあります。 ハイド・パークから一本入っただけなのにその喧噪からは遠くひっそり としてまるでルーシー・リーが戸口に現れるような錯覚に捕らわれました。 ルーシー・リーが亡くなった後アパートは人手に渡り、現在は 「元ロック歌手」が住んでいます。棟続きの2軒も購入してスタジオに 使うようだ、植木は伸ばし放題だ、などと近くの住人は噂しています。 アパートの新しい住人は植木は伸ばし放題で、美しかったドア周りの木は 手入れがされていないし、おまけに木にはクリスマスのようなライトが 飾られて夜にな るとチカチカと明かりが灯る、と近所の評判はあまり よくありません。 ルーシー・リーが住んでいた頃の面影はドアのあたりにかすかに残るだけ です。そのドアももうすぐ木に埋もれてしまいそうですが。 けれどアルビオン・ミューズそのものは十年一日のごとく静かな佇まいを 今に留めています。

ルーシー・リー展バスツアー企画

静岡市立の 静岡アートギャラリー で ルーシー・リー展が開催されています (2006.12.12〜2007.1.28)。東京のニューオータニ美術館、とちぎ蔵の街美術館 への巡回に続いて、静岡が本展覧会最後の会場となります。 各会場ごとに展示作品の一部に変更が加えられていますが、 今回は最終会場ということもあってハンス・コパーのすばらしい作品が展示 されています。台座の中にカップ形の容器が組み込まれている特徴的な作品 やスペードフォームと呼ばれる作品。大胆に刻まれたラインと深みのある釉薬が ハンス・コパーならではの表情に魅了されます。 静岡会場は高層ビルの3階に位置する静岡市の美術館でスタイリッシュな雰囲気を もち、壁に取り付けられたアクリルケースのルーシー・リーの作品をごく間近で 鑑賞することができます。また、リーチの影響を受けた黒い釉薬の器シリーズ、 ルーシー・リーならではの白い器シリーズ、また背の高い白い花生けは とちぎ会場で初めて公開されましたが、白い釉薬の中にほんのりと エメラルドグリーンのスパイラルが立ち上がる清楚で見事な一点です。 また日本初公開となるルーシー・リーの作品も2点あります。同じドロマイトの 釉薬を施しながら他の作品と全く異なる表情をもち、ルーシー・リーの 釉薬の妙に驚かされることでしょう。初公開のドロマイト釉花生はビロードの ような表情を持ち、思わず触れたくなるような暖かさを感じます。 今回のバスツアーはロダンの所蔵で有名な 静岡県立美術館 と 「画家の愛したやきもの」とHPにある ポーラ美術館 を加えた3館を巡ります。 静岡県立美術館ロダン館では 階段状になったスキップフロアには《地獄の門》 をはじめとして32点のロダンの彫刻が展示されています。 ポーラ美術館はご存じの方も多いと思いますが、箱根の仙石原に位置し、 植物体系を乱すことなく、という意図のもとにそのほとんどを地下に埋もれた 形で設計がなされ、地上部分は8メートルの高さに抑えられています。 企画展もさることながら、建物自体を見ることもおおいに楽しみです。 静岡は近くの芹沢けいすけ(漢字がこのコンピュータにない!)美術館や ビュッフェの美術館もあり、ゆったりと過ごしたいところですが、新宿を 朝でて日帰りの旅程ではとても回りきることが出来ません。今回はこの3館を 訪れる予定ですがそれ