NHKの日曜美術館で22日、ハンス・コパーが紹介された。 番組には妻で写真家ジェイン・コパーを含む3人の貴重な 証言が記録されている。 最初、映像には係わらない、と言っていた妻のジェイン・コパーが コパーを語る。最初で最後の映像だろう。タバコをスパスパ 吸いながら、コパーに資料を焼き捨てるように言われたこと、 限りない信頼を寄せ合っていたルーシー・リーとハンス・コパーの たぐいまれなパートナーシップのこと、丘に眠るコパーの遺灰に ついて。 コパーを王立芸術大学院に招聘したデイヴィッド・クイーンズベリ卿も インタビューに答えている。高齢ながら現役のデザイナーで クイーンズベリ・ハント というデザイン会社を経営している。 少数のデザイナーの集団で数々のデザイン賞を受賞している 輝かしい経歴の持ち主だ。ここのデザインディナーウェアは 最も高質なデザインの一端を担うとされ、アメリカのCrate & Barrelや ウェッジウッド、ローゼンタール、ハビタットなどからの プロジェクトに参画している。 また、 アリソン・ブリトン はコパーの教え子の一人でイギリスの 現代陶芸の担い手として活躍している。滋賀県の陶芸の森での 招待作家としてこの春来日、制作した。イギリスの最も 良質な部分を体現した知識人で論客でもある。作品は世界の さまざまな美術館にコレクションされている。 番組ゲストの乾由明氏は京都大学の名誉教授で 兵庫陶芸美術館 の館長。ハンス・コパーにもルーシー・リーにも実際に会った 数少ない日本人の一人だ。 司会の 姜尚中氏 は東大で教える政治学者として数多くの著書がある。 ロンドン取材の映像を見ながらスタジオの姜尚中、乾由明、 アナウンサーの中條氏がコメントをしていく構成だ。 詳細は29日夜の再放送を見ていただきたいが、心に沁みる 静かで力強い、また貴重な映像と思う。 27日10:05の「歌うコンシェルジュ」という総合テレビの番組 でも日曜美術館本編を編集したものが放映されるそうです。
20世紀を代表する最も偉大な陶芸家として記憶されるルーシー・リーとハンス・コパー。そしてバーナード・リーチ。その作品と彼らに関わった人たちのこと、そして見聞きした展覧会のあれこれを思い浮かぶままに。ルーシー・リーとハンス・コパーの作品を愛するひとへ。