Skip to main content

Posts

Showing posts from December, 2006

2002年日本での展覧会

滋賀県立陶芸の森 陶芸館

カナダでの展覧会に一ヶ月先立つ2002年4月、信楽の陶芸の森陶芸美術館
「生誕100年記念ルーシー・リー展〜静寂の美へ」が開催されました。

1989年に東京草月会館で三宅一生氏によって開催されたルーシー・リー展以来
ルーシー・リーを紹介した大きな展覧会は13年ぶりのことです。この信楽での
展覧会は芸術新潮をはじめとする美術誌、新聞各紙で大きくとりあげられ話題を
よびました。

この展覧会は同年7月、愛媛県松山市のミウラート・ヴィレッジ三浦美術館
翌年1月に東京のニューオータニ美術館と3館を巡回して大きな成功を
納めました。

動員数やカタログの販売数はもちろんのこと、
「待ちに待って訪れた展覧会」「心を洗われる作品群、、、来て良かった」
「作品を見て感動した、ルーシー・リーという一人の作家がこうやって作品を
作り続けたことに勇気付けられた」「作品の前から動くことが出来なかった、、」
などと多くの感想が寄せられ人気の大きさを実感させられました。

ガーディナー美術館ルーシー・リー展 Gardiner Museum 

Front cover of the catalogue of Gardiner Museum
photo: Jane Coper

2002年はルーシー・リー生誕100年にあたり、世界各地で記念展覧会が
開かれました。

トロントにあるガーディナー美術館でも2002年5月〜9月、
Ceramic Modernism: Hans Coper, Lucie Rie and Their Legacyと題して
二人の作品、またその心を継承されると思われる作家たちの展覧会が
開催されました。

小冊子の表紙にはハンス・コパーの妻ジェイン・コパーが撮った、見る人に
強い印象を残すすばらしい写真が使われています。この展覧会は美術館の
改築前でスペースが限られていたことと、二人の作品65点を含む160点近い
作品集められたため幾分窮屈な展示でしたが。

オープニングで、アメリカの作家が「何故僕の作品が今回の展覧会に
含まれたかわからないが、、、皆さんもきっとそう思っているでしょう」
とユーモア溢れる言葉の挨拶をしたように、作品にも人にも直接の
つながりがあるとは見えないものもありましたが、並んで展示された
ハンス・コパーとルーシー・リーの作品は静かな佇まいでありながら
見るものに圧倒的な力をもってせまるものでした。


ルーシー・リーのプロフィール

ルーシー・リーはバーナード・リーチ、ハンス・コパーと並び、
20世紀の巨匠と目された陶芸家です。

1902年ウィーンに生まれ、ウィーン工業美術学校を卒業して陶芸家として
活躍しましたが、1938年、ナチスの迫害を逃れてロンドンに渡り、
生涯イギリスで作品を作り続けました。

ルーシー・リーの作品はそのそぎ落とされた簡明なフォルムと、繊細で
洗練された装飾とが見事に融合し彼女独自の静寂な美を生み出しています。

ルーシー・リーはすべての作品をろくろで作り、釉薬もろくろの上で
筆で塗ります。また部分に分けてろくろ挽きしたものを合接して
一つの作品に仕上げる事も多く行いました。

掻き落としで繊細な模様を描き、高台の裏にも美しい線をていねいに
仕上げます。もう一つ特徴的な技法として、複数の色の粘土をろくろに重ね、
そのままろくろ挽きすることで淡いスパイラル模様が立ち上がります。

バーナード・リーチに、リーの作品が「薄すぎる」と批判され
一時期厚手のポットを作りますが、ハンス・コパーに「自分自身の器を
作れば良い」と励まされ、本来の自分らしい作品に立ち返ります。

彼女の作品は世界各地の美術館でコレクションされており、最も著名な
コレクターの一人、イギリスのデイヴィド・アッテンボロー卿は

「今でもルーシー・リーの作品で見た事のない形や色に出会う。
しかし、それでいて見た瞬間に、まぎれもなくこれはルーシー・リーの
手になるものだ、とわかるのだ」
と語っています。

1994、5年ニューヨークのメトロポリタン美術館で初めてとりあげた
個人作家としてルーシー・リーとハンス・コパーの展覧会が開催されました。
その会期が終わった1995年4月、ほぼ20世紀を生きたルーシー・リーは
亡くなりました。