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Showing posts from August, 2009

キクラデス・フォーム

ハンス・コパーはミケーネやエジプトの古代文明に魅せられ さまざまな形をシリーズで作った。コパーはそれをファミリー とよび、サイズを変えプロポーションを変えどれもが一つの 形から次々と展開された。 そのひとつにキクラデス・フォームとよばれる細く上にのびる 形がある。見た瞬間に心を捉える、または心を射るという 表現が適切かも知れない。それは力でもなく奇をてらうでもなく ただ静かにそこに在るのだが心を捉えて離さない。 その原型、遙かな昔に人々の祈りの対象であったのか豊穣を 願うのであったか顔のない、手を前に組んだ不思議な形が 大英博物館に常設展示されている。コパーは寒さを逃れるため この博物館によく足を運んだという。 そこで幾度となく古い文明の生み出した作品を見たことだろう。 自分のハマースミスの工房にも大英博物館で開催された 展覧会のキクラデス像のポスターを壁に貼っていた。 また、何の変哲もないただの丸い壺、遠い昔のエジプトのつぼを いつも傍らに置いていた。コパー自身の作品も時を超え空間を 超えてかなたからやってきた存在であるように感じられる。