
ハンス・コパーはミケーネやエジプトの古代文明に魅せられ
さまざまな形をシリーズで作った。コパーはそれをファミリー
とよび、サイズを変えプロポーションを変えどれもが一つの
形から次々と展開された。
そのひとつにキクラデス・フォームとよばれる細く上にのびる
形がある。見た瞬間に心を捉える、または心を射るという
表現が適切かも知れない。それは力でもなく奇をてらうでもなく
ただ静かにそこに在るのだが心を捉えて離さない。
その原型、遙かな昔に人々の祈りの対象であったのか豊穣を
願うのであったか顔のない、手を前に組んだ不思議な形が
大英博物館に常設展示されている。コパーは寒さを逃れるため
この博物館によく足を運んだという。
そこで幾度となく古い文明の生み出した作品を見たことだろう。
自分のハマースミスの工房にも大英博物館で開催された
展覧会のキクラデス像のポスターを壁に貼っていた。
また、何の変哲もないただの丸い壺、遠い昔のエジプトのつぼを
いつも傍らに置いていた。コパー自身の作品も時を超え空間を
超えてかなたからやってきた存在であるように感じられる。
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