日本語版『ルーシー・リー モダニズムの陶芸家』 原書『Lucie Rie: Modernist Potter』 日本語版の準備の過程で、表紙の写真が大きな課題となりました。 原書は著者が撮影した最晩年の姿。バックにはボタンの押型が天井まで重ねられ、写真のセピア色と合わせてルーシー・リーの歴史と時間を感じさせます。ゆったりと時が流れ、ルーシーの一生がこの一瞬に凝縮された印象があります。 しかし、日本によく知られたルーシー・リーのイメージとは異なり、あまり馴染みがありません。日本語版の表紙写真は60年代のルーシー・リー。国内外での作品の人気と名声が高まり展覧会開催の依頼が引きも切らず押し寄せ始めた頃のルーシーです。 写真は両方とも同じ場所、同じろくろ、同じ背景で撮られていますが、日本語版の写真に写るルーシーは、日本での展覧会にも紹介されてきた60年代当時の多くの写真のイメージと重なります。また、今でも生き生きと語り継がれるルーシーの物語にふさわしいエネルギーと意志の強さが表情に映し出され、卓越した技術をも連想させるこの写真を日本語版には使おうということになりました。もちろん、写真を替える事も出版契約で了解されています。 両方ともすてがたい写真です。みなさまはどちらが良いと思われるでしょうか。
20世紀を代表する最も偉大な陶芸家として記憶されるルーシー・リーとハンス・コパー。そしてバーナード・リーチ。その作品と彼らに関わった人たちのこと、そして見聞きした展覧会のあれこれを思い浮かぶままに。ルーシー・リーとハンス・コパーの作品を愛するひとへ。