ルーシー・リーへの手紙(「器に見るモダニズム」カタログより バーナード・リーチが死の3週間前ルーシー・リーに宛てた 貴重な手紙の内容が、奇跡的とも言える秘書の機微で 後世に伝えられることになった。 上の手紙は2005-2007年にニューオータニ美術館(東京)、とちぎ 蔵の街美術館(栃木)、静岡アートギャラリー (現静岡市美術館)を巡回した「ルーシー・リー展 器に見る モダニズム」に出品されたものだ。口述のためリーチのサインはない。 バーナード・リーチは1979年、92才で亡くなったが、その年の春 リーチがルーシー・リーに宛てた手紙を、秘書の トゥルーディ・スコット が口述筆記したものだ。しかしそれは決してリーチの生存中に送られることは なかった。その理由と口述の内容を、 トゥルーディが明かしている。 「親愛なるルーシー、 この手紙を貴女に送るのが遅くなりました。バーナードが 亡くなる3週間程前に、私は彼の口述した数通の手紙を筆記した のですが、一旦捨てられた その下書きをどうにか見つけようと 探していたからです。 ・・・それらの手紙は、ジャネット(リーチの最後の妻)が、 自分が関係者 — 貴女や、美穂子、濱田の息子さん — には連絡を とっているから 送る必要はない、と言い、決して送られる事は ありませんでした。 けれど今、私はそれを貴女に送ります・・・(中略)・・・ 私は自分の直感に従って送るべきでした。けれどこの間、4マイルも 離れた彼の病院に毎日昼と夜通っていました。申し訳なく思っています。 トゥルーディ」 リーチの口述した手紙は、下書きを探し出した秘書の手で、 リーチの死後、ルーシー・リーに届けられた。バーナード・リーチの 手紙は以下の通りやさしさと愛情にあふれている。 親愛なるルーシー、 具合はいかがですか?貴女が以前より良くなっている事を そして恐らくまた会える事を祈っています。 神様が今朝、僕のしっぽにちょっぴり金の粉を振りかけたよ。※ 僕の為に祈って欲しい。 いつも、僕のすべての愛を込めて、バーナードより ...
20世紀を代表する最も偉大な陶芸家として記憶されるルーシー・リーとハンス・コパー。そしてバーナード・リーチ。その作品と彼らに関わった人たちのこと、そして見聞きした展覧会のあれこれを思い浮かぶままに。ルーシー・リーとハンス・コパーの作品を愛するひとへ。