

亡くなる1995年まで住んでいたアルビオンミューズのアパート。
ハイドパークから一本入った静かな住宅街にひっそりと建つ。
アルビオンミューズは石畳の美しい小路だが、ルーシー・リーの
アパートはかつての面影はない。伸ばすに任せた植木に覆われて
今や熱帯雨林のようになっている。
運が良ければ2階上の壁に掛けられた
「ここにかつてルーシー・リーが住む」
というプレートを見ることが出来る(この写真では逆光でよく写って
いないが)。というのは、「先週まで見えなかったよ。今は
見えるからそのまわりだけ(ツタを)刈ったのだろう」と誰かが
言っていたから。
かつてハンス・コパーやルーシー・リーを訪ねた人たちが鳴らした
ドアベルは今バークレイコレクションになっているし、当時を
知る人が訪ねたら様変わりにびっくりすることだろう。
棟続きの隣の部屋(その名もTree Houseとドアにある)に住む、
元ミュージシャンという男性がこの棟のアパートを全部買ったと
ななめ向かいの住人が言っていた。彼らはルーシー・リーが健在
だったときからの友人夫婦で、この「植木の手入れをしない」
元ミュージシャンにひどく腹をたてていた。しかも夜は樹に
とりつけられたクリスマス飾りのような電気が点滅するのだ。
知らない人が入り込むと、何か用事かと慇懃に尋ねられるような
(プライベートな住宅地なので当然だが)、小さな袋小路で
そうそう行かれる場所ではないだけにプレートが良く撮れて
いないのが残念だ。
「見えるときと見えないとき」があると聞けばさらに残念なことだ。
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