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ルーシー・リーの伝記日本語版

日本語版『ルーシー・リー モダニズムの陶芸家』 原書『Lucie Rie:  Modernist Potter』 日本語版の準備の過程で、表紙の写真が大きな課題となりました。 原書は著者が撮影した最晩年の姿。バックにはボタンの押型が天井まで重ねられ、写真のセピア色と合わせてルーシー・リーの歴史と時間を感じさせます。ゆったりと時が流れ、ルーシーの一生がこの一瞬に凝縮された印象があります。 しかし、日本によく知られたルーシー・リーのイメージとは異なり、あまり馴染みがありません。日本語版の表紙写真は60年代のルーシー・リー。国内外での作品の人気と名声が高まり展覧会開催の依頼が引きも切らず押し寄せ始めた頃のルーシーです。 写真は両方とも同じ場所、同じろくろ、同じ背景で撮られていますが、日本語版の写真に写るルーシーは、日本での展覧会にも紹介されてきた60年代当時の多くの写真のイメージと重なります。また、今でも生き生きと語り継がれるルーシーの物語にふさわしいエネルギーと意志の強さが表情に映し出され、卓越した技術をも連想させるこの写真を日本語版には使おうということになりました。もちろん、写真を替える事も出版契約で了解されています。 両方ともすてがたい写真です。みなさまはどちらが良いと思われるでしょうか。

ルーシー・リー モダニズムの陶芸家 - by Emmanuel Cooper

Lucie Rie:  Modernist Potter - by Emmanuel Cooper 邦題『ルーシー・リー モダニズムの陶芸家』 日本語版が出版されました。 原書はイェール大学出版のエマニュエル・クーパー著、「Lucie Rie: Modernist Potter」です。著者のエマニュエル・クーパー氏は、自身陶芸家、王立美術大学院客員教授、研究者、ゲイの解放運動に大きくかかわった活動家、また、イギリスの陶芸誌「Ceramic Review」の創始者・編集者、といった多彩な顔を持つ著名な作家です。 本書を書き上げた直後にガンのために73才で亡くなりました。徹底した資料しらべと遺族、友人や関係者の証言とによって、ウィーン時代のルーシー・リーに多くの誌面を使っています。今まで知られていなかった事実を掘り起こし、モダニズムを体現する作品を生み出したルーシー・リーの家庭環境、母親との確執、ナチス統治下のウィーンからの緊迫した脱出、その後のバーナード・リーチとの邂逅、無二の友情を築き上げたハンス・コパーとの出会いなど、豊富な釉薬レシピや技法とともに紹介する、まさに初めての包括的なルーシー・リー伝記と言えるでしょう。

『ルーシー・リー&ハンス・コパー 20世紀陶芸の静かなる革新』出版

今も陶芸界で圧倒的な人気を誇るイギリスの陶芸家ルーシー・リーとハンス・コパーに関する日本で初めての本が出版されました。 監修・編集の乾由明氏は、京都大学名誉教授であり兵庫県陶芸美術館の名誉館長で、陶芸界は言うに及ばず広く美術界で活躍の評論家です。 ここに納められたエッセイの中で乾氏は「20世紀後半、世界でもっとも傑出し、もっとも革新的なかたちの陶芸を創造した作家」ルーシー・リーとハンス・コパーについてとその作品を論じています。 乾氏はルーシー・リーとハンス・コパーに実際に会った数少ない日本人のひとりであり、二人との貴重な出会いとその印象についても触れていてファン必読の一冊と言えるでしょう。 『ルーシー・リー&ハンス・コパー 20世紀陶芸の静かなる革新』六耀社12月25日発売。乾由明監修、240ページ。掲載作品ルーシー・リー86点、ハンス・コパー69点、共作6点、定価21,000円。

ハンス・コパー、ルーシー・リー、オークションの結果

フィリップスによるスターンコレクションのオークションが終わった。スターンコレクションはハンス・コパーとルーシー・リーの最も質の高いコレクションの一つとして名高いが、エリザベス・フリッチやジオ・ポンティ、ケン・プライス等他の作家やドローイングもいくらか含まれている。 なんと個人のコレクションで、総額12億円にもなった。もちろん決済されずに残された作品もあるのでコレクション全部の価格はそれをはるかに上回るだろう。 ハンス・コパーとルーシー・リーに関して言えば、すべてが予想落札価格の7、8倍という値段がついたものもある。すべてが遥かに予想を超え、コパーとリーの作品が今だに大きな人気を誇っていることがわかる。 例えば、15日のブログの写真にある作品は、一番上から 1 白のドットのある花生け 630万 2 左から2つめの赤の掻き落とし花生け 500万 3 コパーの左の作品 656万 4 コパーの左、白のチューブ(キクラデスに分類される) 630万 5 リー、左の鉢 853万 などだが、コパーの砂時計形は2000万を超えている。ルーシー・リーもすべて、かつてない高額になってしまった。このうちのいくつかを日本の業者さんが買い入れてあるとしたらまた見る機会もあるかもしれないけれど、、、。これに美術品としての送料がかかるのでまあ、普通の人には手が出ない値段だ。 2009-11年のハンス・コパー展に出品されていたルーシー・リーの緑の鉢(金の口縁)と同じタイプの鉢はほぼ600万だ。お金がすべてではないけれど、それだけコパーとリーの作品に魅せられて手元におきたい人が多いということだろう。願わくは美術館に渡りますように。 オークションハウスにもよるけれど、実際コパーとリーの贋作もある。リー専門に作り続け、オークションハウスに人を介して持ち込まれる例もある。こればかりは信頼出来るハウスを通じて買うしかないけれど、リーとコパーのほぼ全作品を見ている確かな目を持つ担当者がフィリップスにはいる。だからスターンコレクションもここでオークションンにかけられたのだろう。 なんといってもコパーとリーが生きていたらこの結果に何と言うことだろう。二人の原点はあくまで「使える器」だったのだから。

ハンス・コパーとルーシー・リーの作品が見られる!

ひさびさの投稿がオークションの知らせというのは少し残念でもある。 しかし、みかたを変えればこれは世界で最も質の高いコレクションのひとつとして知られる、アメリカのベティー・リーとアーロン・スターンのコレクションを見ることのできるまたとない機会だ。それが オークション にかけられる。 リーとコパー、二人の作品がこれだけまとまって見られる機会はもうないかもしれない。 作品は典型的なかたちをほとんど網羅していて1950年代の初期から晩年にいたるまで、スターン夫妻の確かな目を堪能できる。特にコパーはディグズウェル時代のさまざまな形がそろっている。 ニューヨークのご自宅でその一部を拝見したことがあるが、そのコレクションのルーシー・リーとハンス・コパーの作品は、息をのむ美しさだった。窓辺の飾り棚に置かれたキクラデスの静謐な佇まい、リーの晩年の華麗なブロンズ釉。 2009年から2011年に日本で開催された初めてのハンス・コパー展にこのコレクションから借用する話もあったが、都合でかなわなかったものだ。もちろん実際にお借りした、イギリスやドイツの公的美術館、著名なコレクションからの作品はそれぞれ最も定評のある質の高さだった。 今回はコネティカットのご自宅にある全作品があらためて撮影され、立派なオークションカタログに掲載されている。 ところで。。。これらの作品には予定最低落札価格も掲載されているが、もちろん欲しいと思う人が多ければどんどん価格はつり上がる。また、これにハンマー手数料がかかるので実際には日本にもってくるにはかなりの値段になる。日本からもギャラリーやディーラーが多く押し寄せることだろう。これらの少しでも日本に来ることになれば良いけれど、、、と願いつつ。

ルーシー・リーの伯父サンダー

from Österreichisches Jüdisches Museum in Eisenstadt ルーシー・リーに強い影響を与えた人物の一人にサンダー伯父がいます。 ルーシーの母親、ギーゼラの兄にあたるアレキサンダー・ヴォルフ(1871-1946、サンダー伯父)です。 ギーゼラの実家はオーストリアのブルゲンラント州の州都、アイゼンシュタットで手広くワイン製造を行っており裕福で影響力を持つ一家でした。そこで家督をついだ兄二人のうち、一人が美術品の収集をし、旅行家であり、高い審美眼を持っていたサンダーでした。彼は、実家ヴォルフ邸をヴォルフ博物館として公開し、一時期はヨーロッパで一番重要な、ユダヤ人関連のコレクションを持つ博物館と見なされていました。所蔵品はもちろんユダヤ人関連に限らず、ローマ時代の発掘品である陶器など広く美術品を26,000点余集めていました。 ナチスの台頭でサンダー伯父やいとこはハイファに逃れ、そのヴォルフ邸はナチスに没収され、その司令部となりましたが、戦後サンダーはオーストリアにもどるつもりのないことを手紙で告げ、現在サンダーのコレクションを元にブルゲンラント州立博物館となっています。 ルーシーは従姉と共にサンダーに連れられてヨーロッパを旅し、スイスのチロルでスキーにも興じています。伯父に見せられたローマ時代の陶器を折に触れて目にしていたルーシーはそれらに強い興味を持ち、考古学に惹かれたようです。 ルーシー自身が語っていたようですが、サンダー伯父の写真を見ると驚くほどルーシーは伯父に似ています。その目や鼻、口、すべてルーシーにサンダー伯父の面影を見ることができます。 サンダー伯父はハイファに逃れた後1946年1月2日に亡くなりました。その頃ルーシーはロンドンのアルビオン・ミューズに工房をかまえてボタンだけでなく、ようやく自分の作品を作リ始めていました。

ハンス・コパーのディスクは今?

2009-2011年に日本の6美術館を巡回して大きな話題になった「ハンス・コパー 20世紀陶芸の革新」展。そこに出品されて広く世界に紹介された、スウィントン・スクールの壁面に取り付けられていたディスクはその後どうなったのでしょうか? 実は展覧会が終わってロンドンに返却された際、スウィントン・スクールでは保管の責任と安全の観点から美術館へ売却することを望んでいました。ヨーク美術館を始めとしていくつもの美術館が手に入れたいと基金を募ったのですが、予算がかなわず、結局このディスクを手に入れたのは個人だったのです。 というのは、オークションで5万ポンドから7万ポンドであろうという予測を大きく上回り、181,250ポンド(日本円でおおよそ2350万円)にもなりました。コパーの委託制作料が幾らであったのか知られていませんが、この値段を知ったらハンス・コパー自身多いに驚く事でしょう。 このディスクにはコパーの作品に連なる形が 数多く見られます。ディスクのひとつをとって立ててみたり横にしてみたり、またこれを組み合わせてみるとディグスウェル時代やその後に出てくるキクラデスの形さえも見ることができます。 このディスクすべてを購入したのはヨーロッパに住む個人とのことですので、公開されることはもうないように思われます。自宅の壁に埋め込んで眺めるのでしょうか。かなうことなら聞いてみたい気がします。